解析事例

Si結晶における亀裂伝播と表面再構成

Si結晶の(001)方向に対して外力を与えた場合の亀裂伝播、形成表面の構造再構成、容易亀裂面などの解析を行った。シミュレーションでは(001)面の亀裂が、(111)面、(110)面に沿った方向に亀裂の進行方向を変える様子が観測された。このことは(111)面、(110)面がSiの容易亀裂面であるという実験事実と一致する。

 

fig.1

(111)亀裂面の再構成の様子

fig.2

亀裂容易面(111)面、
(110)面への進展


Auヘリカルナノワイヤの多重殻構造

Auナノワイヤに対する分子動力学計算により、ナノワイヤの多重殻構造におけるマジックナンバー、ヘリシティなどの原因を明らかにした。Au結晶(面心立方格子)の(110)シートを重ねたワイヤを初期構造として600Kの定温計算を行うと、表面に現れた(100)面上で原子列のずれが発生し、表面全体が (111)面によって覆われた構造が発生する。この構造変化がヘリシティを誘起し、マジックナンバーを説明する。この計算事例は本シミュレーションプログラムが金属系にも有効であることを示している。

fig.3

金ナノワイヤの分子動力学計算における全エネルギーおよび構造変化


カーボンナノチューブの成長

液体カーボンとの相互作用によるカーボンナノチューブの成長解析を行った。シミュレーションでは液体カーボンにナノチューブの先端を沈めた後、液面から引っ張り上げた。液面に現れたカーボン鎖がナノチューブの先端に結合し、ナノチューブを成長させる様子がみられた。本解析事例はシミュレータの液体系の解析および化学反応解析への可能性を示唆するものである。

fig.4

カーボンナノチューブの液相からの成長


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