研究概要

ELSES (Extra Large Scale Electronic Structure Calculation)プログラムパッケージはタイトバインディング・ハミルトニアンを用いた電子構造計算、分子動力学計算により、安定構造、ダイナミクスなど、様々なプロセスのシミュレーションを行うプログラムです。クリロフ部分空間法、Shifted-COCG法などの数理アルゴリズムを用いた電子状態計算により大規模系の電子構造計算を実現しています。数万原子規模の系については問題なく計算実行可能で、テスト計算では1千万原子まで行っています(ELSESのベンチマーク結果)。ELSESの機能を以下に示します。

ELSESグラフ

■ 超大規模電子構造プログラムパッケージ ELSESの特徴

分子動力学法を用いたナノ・メゾスケールシミュレーション

タイトバインディングのモデルハミルトニアンを用いた電子構造計算により量子論的効果を考慮

密度行列計算により高速・オーダーN電子構造解析を実現

系に応じて最適な数理アルゴリズムを選択可能

  • * 直接対角化法
  • * ワニエ関数法
  • * クリロフ部分空間法
  • * Shifted-COCG法

XML形式のファイル入力条件設定により汎用性・拡張性を確保

以下の物性値の計算が可能

  • * 原子位置、速度、力
  • * 動径分布関数、平均二乗変位
  • * エネルギー、温度、圧力
  • * 全電子状態密度、局所状態密度

今後の開発予定

材料設計の研究開発現場における様々なニーズへ対応するために、プログラムの開発・改良を行う予定です。

■ 開発現場におけるニーズ

メゾ・マクロスケール材料評価

  • * 材料特性予測、新機能材料開発支援
  • * 量子効果を考慮した高精度解析

シミュレーションによる研究開発方法の革新、QTAT向上、試作削減

熱・化学反応

表面・界面における反応

多元素系

高速化、大規模化、長時間化

 

■ プログラム対応項目

汎用化、多元素への対応

高速化、大規模系への対応

操作容易化

 

■ 開発予定項目

化合物系に対応可能なタイトバインディングモデルの開発
自己無撞着に決定された電荷を考慮したハミルトニアン
電子状態密度解析アルゴリズムの高速化
非平衡グリーン関数を用いた有限電界下での伝導特性解析
モデリング・解析支援ツールの整備

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